前節は苦しい試合を勝ち切ることができた。S広島R戦は、前半にFW矢形海優選手、FW松窪真心選手のヘディングゴールで2-0にするも、後半早々に右サイドを崩されて追いつかれる展開。後半15分、ワンタッチで丁寧にボールをつなぎ、最後はFW宮澤ひなた選手が右足を振り抜いた。ミドルレンジから狙ったこのシュートは相手DFに当たり、角度を変えてゴール右隅に吸い込まれた。これが決勝点となりマイナビ仙台レディースは3-2で勝利、4位に浮上した。諦めず狙い続ければ何かが起こる。ユアスタは歓喜に沸いた。
5月2日の就任後、2勝2分と未だ負けなしの須藤茂光監督。「追いつかれてから粘り強く戦って勝ちきれたということは、チームの自信になる」と評価した一方で、攻撃時のミスの多さも指摘する。「パスミスが減れば、もっと自分たちのリズムで目指すサッカーに近づいていける」と選手たちを鍛え上げる。大きな変化を加えて、定着させるには時間がかかる。ミスを減らすべく基礎を徹底し、精神面では選手たちに「プロとしてどう在るべきか」を問いかけながら成長を促している。
今節の対戦相手は9位のノジマステラ神奈川相模原。前節は新潟Lと対戦し、1点を追いかける終了間際にDF大賀理紗子選手がPKを決めて、勝ち点1をつかんだ。シーズン後半は5連敗と苦戦を強いられた相模原。粘り強い戦いで連敗を止めてユアスタに乗り込んでくる。「残り2試合で勝ち点6を取ることで、チームの目標である5位以内もまだ見える。そこはブレずにやっていきたい」と大賀選手。連勝を目指すマイナビ仙台にとって手ごわい相手がホーム最終戦にやってくる。
今季はマイナビ仙台にとっては上位進出を狙いながらも届かず、TOP3チームとの差を見せつけられた苦しいシーズンでもあった。残り2試合で何を示すか。須藤監督は「WEリーグは日本女子の最高峰のリーグでいろいろな人が注目して見ている。自分たちが今いる舞台は女子選手の憧れの場。そのことをもっと意識していかなければいけない」と説く。自分たちへ、対戦相手へ、厳しさを示すことができるか。プロとして高いレベルでプレーする喜びを表現できるか。子どもたちの夢を作り出す試合ができるか。何よりも、最大限に自分自身がサッカーを楽しめるか。この仲間たちと戦える最後のホーム・ユアスタ。特別な試合に勝利の女神がほほ笑むよう、全力で応援するのみだ。