マッチデープレス vol.03

浮上のきっかけをつかむ一戦に。
サイドから示す積極的な姿勢で前進を

　前半と後半で、くっきり明暗が分かれる。それが今シーズンのマイナビ仙台レディースだ。守備の狙いがはまり、相手の良さを徹底的に消すことができる前半。しかし、その景色はハーフタイムを挟んで一変している。選手交代や前半の修正をかけられると、なかなかピッチでそれを覆すことができない。けが人が多く思うように選手交代でパワーアップできない現状はある。しかし、須永純監督は「けが人がいるからという考えや言い訳ではなく、今いるメンバーでやっていく」と、それぞれの特性を見極めながら、今できる最適解を探している。それがチーム全体の力を上げることにもつながると信じている。

　光明は、U-20女子ワールドカップを主力として戦い抜いて帰ってきた左サイドバック、佐々木里緒選手の帰還だ。前節のI神戸戦では左サイドからチームを前進させる正確なキックを幾度も見せた。久しぶりにチームでプレーした彼女は、シュートの少なさから消極性を感じた。「もっと積極的に行けばゴールに迫るチャンスは増えていく」。自信を深めた左足の一振りで現状を打ち破っていくつもりだ。また左サイドバック佐々木里緒選手がチームに合流したことで従来の「4バック」のシステムが可能になった。これにより、佐々木美和選手はウイングバックではなくサイドハーフのポジションへ。「攻撃にフォーカスしやすくなった。後ろはサイドバックに任せて、より前に出ていける」とポジティブに取り組んでいる。

　対戦する大宮アルディージャVENTUSも今シーズン未勝利。強豪チームと互角に戦いながらも、なかなか勝ち星には恵まれていない。柳井里奈監督体制の2季目はスピードのある選手たちを揃え、攻守に走力を生かしたサッカーを展開。エースのFW井上綾香選手を中心にゴールに迫る。“ジョーカー”船木里奈選手や、クラシエカップAC長野戦で大けがから復帰した西澤日菜乃選手。そしてマイナビ仙台レディースユース1期生、現在早稲田大学在籍中で大宮Vの特別指定選手となった宗形みなみ選手もリーグ戦全試合先発と奮闘している。縁のある選手が多い大宮Vだが、この勝負だけは譲れない。互いに欲しいのは勝利という結果だけ。自分たちを信じ、仲間を信じて叩く抜いた先に、喜びの瞬間が必ず待っているはずだ。シーズン初勝利へ、チームに関わる全ての力を注ぎこもう。