「リスペクトしすぎないこと」。須永純監督や選手たちは、首位を走る三菱重工浦和レッズレディース相手にこの言葉を繰り返した。昨季の女王である浦和は、現在8連勝と盤石な戦いを見せている。エースの清家貴子選手は9試合連続ゴール中でWEリーグ記録を更新し、得点女王への道を独走している。「浦和には優れた代表選手もいて、清家選手も良い波に乗っている。チームとしてやるべきことを全員が意図してやっている」と中島依美選手も警戒を強める。
相手を尊重する気持ちは大事だが、試合前から相手を過大評価せず、気持ちで負けない戦いを見せたい。戦いのヒントは浦和との前回対戦、第11節の後半にあった。前半に2点を失ったが、後半はDFラインからボールをつなぎ、サイドを積極的に変えた。ボールを握り、果敢に動かすことで、自分たちのペースを作り出した。前節AC長野戦では中島選手がCKを直接沈め、味方との好連携から太田萌咲選手のWEリーグ初ゴールも生まれた。自分たちの時間に、狙い通りの形でネットを揺らせたことも自信につなげたい。今節では、その時間をどれだけ伸ばすことができるかが試されている。
須永新体制での3試合目。練習場では選手たちが大きな声で要求し、互いに意見をぶつける姿が見られる。中島選手もチームの変化を感じている。「最近はやるべきことも明確になっています。それを選手たちは理解し、話し合うことが増えている。良い現象だと思います」。変化を受け止め、より強く生まれ変わろうとしている。チームはたくましく勝利に近づいていく。今節も中2日の連戦でタフな戦いになることは間違いない。最も苦しい時間に選手の足を前へ進めるのは勝利への執念。そしてユアスタの大声援に他ならない。ホームだからこそ届けられる応援で彼女たちの背中を押していこう。