キャプテンのWEリーグ初得点。スペイン人ストライカーの来日初ゴール。地元出身選手の鮮烈な復帰弾。3年目のWEリーグ開幕戦で、マイナビ仙台レディースは3-1の見事な勝利を挙げた。先制して迎えたハーフタイム、後半開始直後に追いつかれるが、チームは慌てなかった。練習で繰り返してきた相手DFの裏を取る動きで、相手に粘り強く揺さぶりをかける。左サイドハーフで先発出場したマイナビユースのMF遠藤ゆめ選手がペナルティエリアに侵入すると、相手DFのファウルを誘いPKを獲得。これをFWカーラバウティスタ選手が鋭く決めた。ダメ押しは後半40分。左サイドでボールをつなぎ、遠藤選手からのラストパスに、逆サイドからMF佐々木美和選手が走りこんで3点目を決めた。「みんなが同じ絵を描くことができました。狙い通り、走る選手がいて、パスする選手がいて、ゴール前に詰める選手がいた。積み上げてきたものが表現された」と須藤茂光監督。スピード感ある攻めで開幕勝利をつかみとった。
WEリーグカップは未勝利、グループ最下位で終えた。けが人が多く、メンバーが揃わない中、遠藤選手を始めユース選手も力を合わせて乗り越えた。今季から取り組み始めた「スプリントトレーニング」も功を奏し、徐々に走力が上がってきた。「WEリーグカップの時には、目指していたアグレッシブなサッカーができなかった。選手たちが走れるようになったのは、コーチが鍛え上げてくれたおかげ」と須藤監督はスタッフのサポートに感謝を惜しまない。
複数のポジションで力を発揮できる選手の存在も大きい。右サイドバックに長期の膝のけがから復活したMF原衣吹選手を、中盤の底には運動量が豊富でミドルシュートも武器のDF佐々木里緒選手を配置して、現状の最適解を導き出した。佐々木選手は「もっと貪欲にゴールを狙ってもいいのかな。まだWEリーグで点を取れていないので今年は取りたい」と新ポジションで意欲を見せる。合流して日の浅い外国籍選手たちのコンディションも整いつつある。開幕戦の戦いをベースに、どんなアクセントが加わっていくのか、今季のマイナビ仙台には未知数のワクワクが詰まっている。
今節の相手はINAC神戸レオネッサ。開幕戦となった新潟L戦ではキャプテンFW田中美南選手のゴールで1-0と勝利を収めている。今季就任したスペイン人のジョルディ・フェロン監督は母国で豊かな女子サッカー指導経験を誇る。開幕戦は思うようにポゼッションでできなかった中でもクリーンシートで勝ち切る強さを見せた。実力者揃いのI神戸をどのように進化させていくか、その手腕に注目が集まる。
チームを長く支えてきた選手、新たな戦力、未来を担うユース、帰ってきた仲間。全ての力で勝利をもぎ取る。相手がどこであろうと、どん欲に勝利を求めていく3季目のマイナビ仙台レディース。カップ戦でどん底を味わった。あとは這い上がっていくだけだ。宮城県民は無料で観戦できるホーム開幕戦。ユアスタをマイナビブルーに染めて、上昇していく彼女たちを後押ししよう。