公式戦を戦うのは実に10か月ぶり。膝の大けがを乗り越えて、FW武田菜々子選手はユアスタのピッチに帰ってきた。痛みと向き合い、昨季のほとんどをリハビリに費やしたが、その時間は無駄ではなかった。「復帰してサッカーを楽しんでいる自分を想像していた。不思議と心が折れることはなかった」。心をタフに磨き上げ、体も一回り大きくして、初戦から先発に名を連ねる。
千葉L戦では積極的に前へ出た。「相手の裏を取ってチャンスを作ったり、ドリブルで仕掛けることもできた。後はフィニッシュだけです」。前半終了間際に訪れた最大のチャンス。「技術ミス。決め切れなかったことが本当に悔しい」と唇を噛むが、こうした悔しさを味わえるのは戦列復帰できたからこそだ。「今、リハビリをしているチームメートに勇気を与えたい」。武田菜々子が、そのプレーで、存在で、仲間を明るく照らすシーズンは始まっている。